高校時代の話。今はもう無いが、当時京成津田沼駅改札内には椅子無しカウンターだけの、まさしく立ち食いのそば屋があった。
ある日の学校帰り、なんかの用事で京成津田沼駅で途中下車した時、その立ち食いそば屋に寄ったことがあった。
すると、天そばを注文しようしたら、壁に貼られた「牛丼250円」の手書きの短冊が目に入ったのだ。
牛丼が250円!? 肉、特に牛肉に飢えていたわたしは、天そばはやめて牛丼を注文すると、出された牛丼を見て固まった。牛肉は丼の真ん中にちょこんと乗っているだけで、串切りされた玉ねぎたちが牛肉をボディガードするように取り囲んでいたのだ。
一応牛肉があるからメニューに偽りはないけどさぁ、これじゃ玉ねぎ丼の牛肉添えではないか。絶対こんなの牛丼ではない。騙された感、大だ。これを牛丼と名乗って、お客に出しているなんて恥ずかしくないのかと腹立たしく思ったものだった。
わたしは“名ばかり牛丼”が悔しかったので、誰かを同じ目に合わせたいと思った。他人の不幸は蜜の味だ。すると、わたしが仕組んだわけではなく、友人とこの立ち食いそば屋に入る機会が訪れたのだ。
わたしが、
「ここの牛丼はうまいぞ、食べてみ」
と促すと、友人は、
「ほんとうだな?」
と、不信感丸出しの表情で疑ってきたので、
「ほんと、ほんとうだよ、うまいよ」
と、だまくらかして牛丼を注文させ、わたしは天そばを注文した。
そして、友人の前に出された牛丼を見て、わたしが大笑いしながら天そばを食べていると、友人はため息をつき、無言のままわたしに呆れた顔を向けてきて、牛丼を半分以上残していたなぁ。悪いことしたなと省みるようになったこの頃だ。
なお、この友人とは、今も付き合いがあり、昨年飲んだ時は、法務省(各自治体含む)が無料配布している『エンディングノート』の「もしもの時の連絡先」には、兄とわたしの連絡先を記入していると話してくれた。


















