わたしの大誤算

 妻とは20代の頃からの飲み仲間だ。その当時JR船橋駅南口にあるパチンコ・スロット「メガ・ガディス」と十割そば「車や」の間の通りを抜けると、一時期ラーメン屋台が数台立ち並んでいたことがあった。

 数人で飲み、ラーメン屋台でシメのラーメンを食べた時、妻はラーメンをさっさと平らげて、
「おかわりしていい?」
 と、聞いてきて、一同を驚かせたことがあった。
 わたしとしては、妻の体格からして、飲むだけでなくよく食べる印象を持っていた。

 ところが、結婚してふたりで飲みに行き、3品注文してもう1品頼もうとすると、
「そんなに食べられないでしょ。食べ終わってからまた注文すればいいじゃない」
 と、言ってくるし、残った料理を食べるよう勧めると、
「もう入らない。あんたが食べや」
 と、返してくるのだ。

 年に2〜3度、宇和島の水産会社社長夫婦と飲むことがある。奥さんは飲みっぷりだけでなく、気持ちいいほどよく食べてくれる。一皿を4人で分けても残った時は奥さんに、
「お願いしまーす」
 と、渡すと、
「はーい」
 と、引き受けてくれる。残飯整理ではないが奥さんに渡すと、任しといてと食べてくれるのだ。

 わたしは妻に奥さんのような食べっぷりを求めていた。いや、そうだと思っていたのに大誤算だった。


 昨日も昼下がりに妻と「菜来軒」に行き、シメにわたしは五目そば、妻は醤油ラーメンと決めていたのに、ビールで乾杯し、餃子を食べて、紹興酒2合を追加して、ニラ玉子炒め、酢豚を食べ終わると、妻は、
「もう入らない。あんただけラーメン食べや」
 と、言ってきたのだ。

 うそでしょ! うちを出る時、あなたは醤油ラーメンが食べたいって言っていたよね。それなのにもう入らないって、食べ方の配分調整もできないのか。

 ひとりだけラーメンを食べるのもなぁ。それに店主もちょうど買い物に出ちまっていつ帰ってくるか分からない。店には接客の奥さんだけだ。

 仕方なく、わたしの胃袋のラーメン口は開いたまま会計を済ませて、買い物をして不完全燃焼のまま帰宅した。

 と、言うことで、晩酌の後、わたしはラ王でシメたのである。ごちそうさまでした。

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