
録画されていた映画「サウンド・オブ・ミュージック(1965年作品)」を久しぶりに観賞した。
中2の時にはじめてテレビ放送で視聴し、それからは、高2の時に友人と都内映画館でリバイバル上映を観たり、レンタルビデオで観たりして、DVDも購入して何度か観賞して・・・だったら、録画なんかしないでDVDで観ればいいじゃないかということなのだが、NHK BSのプレミアムシネマを自動録画予約していて、録画リストに「サウンド──」があったので何の気なしに観賞したのだ。
何度観ても楽しめるミュージカル娯楽映画ですね。妻も「この映画好きなんだよねえ〜」と、言っていた。
さて、「サウンド──」のストーリーとは関係のないところで、あれ? と、今更になって気がついたことがあった。映画の舞台はオーストリアなのにトラップ大佐が運転する車は右ハンドルだったのだ。ナチス・ドイツの車は左ハンドルだった。
調べてみたら、オーストリアは元々左側通行で、1938年ナチス・ドイツに併合されたことを機に右側通行に変更したことが分かった。
ヨーロッパでは左側通行が主流だった
古代ローマの遺跡から出土したピストン輸送で走っていた荷車の轍の跡を調べたら、左側通行だったことが判明した。また、古代ギリシャや古代エジプトでも、おおむね左側通行だったことが考古学者や人類学者が明らかにしている。
ぎょしゃは右利きが多く、馬車の右側または中央に座り、左手で手綱を右手で鞭を操り、対向馬車は右側を通した。
また、鞭は後ろに振り上げると、キャビンや荷物に当たってしまうので右側に振り上げたが、狭い道では鞭が建物や歩行者に当たることもあった。
よって、左側通行が具合がよかったのだ。
ヨーロッパに右側通行が拡大したのはナポレオンの影響
諸説あるようだが、フランス革命(1789〜1795年)の1792年に右側通行が法令化され、ナポレオンが征服した地域をフランスと同じルールに従わせたため、ヨーロッパに右側通行が拡大したと言うのが定説っぽい。
アメリカの右側通行はフランスの影響
フランスで右側通行が法令化された1792年に旧13植民地のひとつペンシルベニア州がヨークとフィラデルフィアを結ぶ幹線道路を右側通行に法定化した。アメリカ独立戦争(1775〜1783年)で援助を受けたフランスに倣ったのだと思う。
そして、1804年にはニューヨークがすべての公道での右側通行を法定化して、次第にアメリカ全土へと拡大していった。
右側通行になったきっかけは、大型のコネストーガ幌馬車という話もある。馬車部分に運転席がなく、運転手は馬の一団すべてに、右手で鞭を打てる左最後部の馬に乗るのが一般的で、道路の左側を空けた方が前方の視界が良くなることから道路の右側を走行するようにしていたからだ。
西部開拓期の「大草原の小さな家」では、幌馬車を運転するチャールズお父さんが右側に、キャロラインお母さんが左側に座っていたけど、カンザス州はまだ右側通行が法定化されていなかったのかな。
日本の左側通行はイギリスの影響
明治時代、イギリスから導入された鉄道が左側通行だったため、車も左側通行になり、1920年(大正9年)に道路取締令が制定されると左側通行が法律化された。
因みに武士の時代も左側通行だった。
- 武士の左腰に差した刀が、道ですれ違う時に当たらないようにするため。刀は武士の魂でしたからね。刀が当たって喧嘩になることも多かったとか。いざこざを避けるためだった
- 馬には、左腰に差した刀が邪魔にならない左側から騎乗したから
明治維新後も将校、上級士官、騎兵、憲兵などは軍刀を佩用したので左側通行が理に適っていたのでしょう。
GHQ 右側通行に変更を要求
連合国占領下の1949年(昭和24年)、日本政府はGHQから右側通行に変更するように要求された。しかし、既に左側通行に交通インフラは整備され、バスなどの公共車両の乗降口を変更するのに膨大な財政支出と時間がかかることから反対し、歩行者のみ右側通行に変更した。
730 沖縄が左側通行に変更
アメリカ統治下(1945〜1972年)の沖縄は右側通行だった。1972年(昭和47年)5月15日に沖縄が日本に返還され、日本政府はジュネーブ国際道路交通条約の「一国一交通制度」を遵守して、730(ななさんまる)キャンペーンを行い、6年後の1978年(昭和53年)7月30日、一夜にして右側通行から左側通行に変更した。
韓国・北朝鮮・台湾・旧満州は右側通行
大韓帝国時代(1897〜1910年)の朝鮮半島は右側通行だった。日韓併合時代(1910〜1945年)に左側通行に変更され、その後韓国は1946年の米軍軍政期に、北朝鮮はソ連軍(現 ロシア)占領期に右側通行に変更した。
台湾(現 中華民国)は日本統治時代(1895〜1945年)は左側通行だった。戦後中国軍(国民政府軍)が進駐して右側通行に変更した。
旧満州(満州国1934〜1945年)も左側通行だったが、1949年の中華人民共和国成立後に右側通行に変更した。
左側通行と右側通行どっちがいい?
どっちでもいい。ただ、30代の頃、ハワイ(オアフ島)でレンタカーを運転した時、ウィンカーを出したらワイパーが動き出すし、交差点で左折して片側4車線道路に侵入した時は、手前の車線に侵入しようとして、助手席の友人から、
「違う! 違う! 違う!」
と叫ばれ、慌てて蛇行しながら反対車線に侵入し直したことがあった。あっぶねー。
ほとんどの国と地域が右側通行を採用している。海外で運転することを考えると右側通行の方がいいのかな。



















