地域の若返りと消滅可能性自治体

 漫画は、主に昭和30年代(1955〜1964年)の東京で暮らす庶民の日常を描いた、『夕焼けの詩(三丁目の夕日)』の1シーン。

 当時の家は、今と比べて敷地面積が広かったと思うが、縁側に腰掛けて庭を見ながら一息入れたり、池を作ったり、子供たちが遊んだりできる、そういう “庭” のある家が理想であり、それ以上に、“猫の額程度の庭” と揶揄やゆされようが、マイホームを持つことが庶民の夢だったのだろう。

 今の時代は、地価が上がった分、敷地面積が狭くなり、ゆとりのある庭の家は少なくなったが、防犯面を鑑みると敷地内が見えない塀は取っ払って、敷地内が見える境界塀や柵にして、セコムかアルソックして、庭なし駐車スペースありの家でも良さげに感じる。


 さて、自宅は第一種低層住居専用地域で、義父が昭和40年代(1965〜1975年)に平屋の中古物件を購入し、数年後に平屋を取り壊し、義父のプランで2階建てに建て替えた。

 昭和20年代の自宅周辺の航空写真を見ると、住宅は皆無で、ものの見事に田園地帯が広がっていた。

 昭和30年代に宅地開発がはじまり、1区画を複数の分譲地にし、購入するには必ず庭を作り植樹をしなければならないという条件があったそうで、1つの分譲地(敷地面積)は概ね60〜80坪、広いところは100坪を超えた。

 それから月日は流れ、田園地帯が皆無になり、住民のほとんどが高齢者となり、10年前はわたしでも町内会では若い人になるお達者クラブな地域だった。


 自宅から見える高層マンションも40年以上前に建てられたもので、ここも高齢者が多いのだろう、平日は介護施設の送迎車が朝に夕に来ている。真面目な話、月に3度マンション1階出入口に救急車が停車していたのを目撃したこともある。

 ある朝、自宅からそのマンションを眺めると、中層階の通路に警察官や刑事らしき人たちが見えた。消防車、救急車も来た。住民と刑事が玄関先で何か話をしている。隣の住民も出て来て警察官と話をしている。しばらくして鑑識も来たが、科捜研のさかきマリコは京都府警なのでいなかった、残念。何があったのかは分からないが、ニュースにはならなかったので事件性はなかったのだろう。


 詐欺窃盗など不埒ふらちやからが多い昨今、自宅周辺が高齢者ばかりでは不安が募るが、そこはうまい具合に若返るもので、世帯主の子供たちは既に社会人になり、他のところに住む人もいる。

 そして、高齢の親を自分の家に同居させたり、施設に入れたりすると親の家を売るのだ。更地になった60〜80坪の敷地には、建蔽率と容積率が許す限りの駐車スペース付き新築戸建が2棟建てられ、新しい住民が入居する。

 自宅区画も周辺区画も1棟が2棟になったところが増え、新しい住民が入居する。つまり、新築1棟の敷地面積は元の半分になるが、新旧世代交代で世帯数が倍々で増えているのだ。若い世帯が増えるとホッとしますね。

 なお、稀なケースとして、自宅を取り壊し、そこに2棟建てて1棟をついの棲家とする住民や、住んでいた区画の家を売って、別区画の新築戸建を購入して引っ越す住民もいる。

 さて、人口戦略会議の令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポートによると、全国1729自治体のうち、4割の744自治体が「消滅可能性自治体」だそうだ。

消滅可能性自治体とは

20〜39歳の若年女性人口における減少率が大きい自治体のこと(『ツギノジダイ』より)

自立持続可能性自治体とは

20〜39歳の若年女性人口の自然滅・社会滅の影響が抑えられている自治体のこと(『ツギノジダイ』より)

ブラックホール型自治体とは

人口の増加分を他地域からの人口流入に依存しており、当該地域の出生率は非常に低い自治体のこと。あらゆるものを吸い込むブラックホールになぞらえて「ブラックホール型自治体」と名付けられた(『ツギノジダイ』『NHK NEWS WEB』より)

 これらに該当する千葉県の自治体は以下の通り。(『ツギノジダイ』より)

消滅可能性自治体
  • 銚子市(特に構造的に深刻)
  • 勝浦市
  • 富津市
  • 八街市
  • 南房総市
  • 匝瑳市
  • 香取市
  • 山武市
  • いすみ市
  • 栄町
  • 神崎町
  • 多古町
  • 東庄町
  • 九十九里町
  • 芝山町
  • 横芝光町
  • 白子町
  • 長柄町
  • 長南町
  • 大多喜町
  • 御宿町
  • 鋸南町
自立持続可能性自治体
  • 流山市
  • 印西市
ブラックホール型自治体
  • 浦安市
  • 酒々井町

 消滅可能性自治体が千葉県東部と中南部に集中しているのが分かる。

 2014年消滅可能性自治体から2024年脱却した自治体は、館山市、東金市、君津市、睦沢町。

 驚いたのはブラックホール型自治体に酒々井町しすいまちが挙げられていたことだ。

 酒々井町に住む人には申し訳ないが、わたしが酒々井町から連想するのは「酒々井プレミアム・アウトレット」くらいだ。自治体別の在留外国人平均比率3.1%に対し、酒々井町は4.5%(自治体6位)と高いが、他地域から流入するほど住みやすい自治体なのでしょう。(比率は令和5年6月末現在)

 県内唯一の「村」、長生村ちょうせいむらはどれにも当てはまらない。名前の通り、長生きする人が多く、村民愛に燃える若年女性も多い、自主自立型の自治体なのかな。

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