
わたしが10代の頃、母が昼下がりの自宅の居間でひとり茶菓子を食べているとわたしが現れたり、外出時も同様にわたしが帰宅することが多かったようだ。
そんな時、母から、
「おまえは嘴が長いね〜」
と、笑いながら言われたりしたが、愛猫斑もそうなのだ。
わたしがDKで何か食べはじめ、口をもぐもぐさせていると、いつの間にか斑が隣の居間に現れ、目が合うと、何食べてるの? と、興味津々に近づいてきて、椅子に座っているわたしの太股に前脚を掛けて、くんくんと匂いを嗅ぐ仕草をして欲しがるのだ。
斑の食事はカロリー計算をして毎日適量のウェットフードとドライフードを与えている。おやつにはCIAOちゅ~るを1日2本ないし4本与えている。食いしん坊なの? 大食漢なの?
そんな時、わたしは、
「おまえは嘴が長いね〜」
と、言ったりしているが、ある日妻から、
「ねえ、『嘴が長い』ってどう言う意味なの?」
と、聞かれたのだ。
「え! 食事中に不意に現れる人のことを『嘴が長い』って言うんだけど知らないの?」
「知らない、はじめて聞いた」
『嘴が長い』は一般的に使う “例え” じゃなかったのか? ネットには北海道の方言とあった。しかし、母は戦前の台湾で生まれ、終戦後の引き揚げが開始された1946年(昭和21年)までの11年半を台湾で暮らし、引き揚げ後は1年間、東京で暮らしてから祖父の実家があった群馬県に移り、父と結婚してから亡くなるまで千葉で暮らしたので、北海道に住んだことはない。恐らく北海道には一度も行ったことが無かったと思う。
それとも知り合いに北海道出身者がいたのだろうか。今となっては、母が『嘴が長い』を使い始めた経緯を知る術がないのが残念だ。
なお、『嘴が長い』は『意地汚い』ではないのでお間違えなく。

















