昨年暮れの30日に某司法書士法人からレターパックが届いた。中身を確認すると、手紙にはこう書かれていた。
突然のお手紙失礼いたします。
司法書士法人●●●の●●と申します。
****様(父)、****様(父の前妻)の遺産についてお伺いしたいことがあり、お手紙を差し上げました。
つきましては一度お電話にてご説明させていただきたいと存じます。
大変お手数なのですが、同封のご連絡先記入票へお電話番号、電話可能な時間帯をご記入の上、ご返送をお願いいたします。
お忙しいところ恐れ入りますが、何卒ご協力お願い申し上げます。
そして、同封されていた「被相続人相続関係説明図」には、
被相続人(父の前妻)****様 (平成●年●月●日死亡)
┣━ 長男(義兄)****様
┣━ 長女(義姉)****様
夫(父)****様(平成●年●月●日死亡)
┣━ わたし
妻(母)****様(平成●年●月●日死亡)
とあった。
皆目見当がつかないこのようなものが突然届くと、誰でもまず詐欺ではないかと疑うと思うが、わたしにはそれ以前に驚いたことがあった。
それは、わたしは結婚時、妻の希望とわたしの家名は義兄が継いでいたので問題ないと判断して妻方の姓に改名した(養子縁組はしていない)。
ところが、「被相続人〜説明図」の義兄は別姓になっていたのだ。義姉はわたしが幼少の時に結婚して夫姓に変わっていた。
つまり、わたしの家名は父の代で断絶してしまったのだ。
Ψ(`◇´)Ψ
わたしも今更旧姓に戻すつもりはないので、栄枯盛衰は世の慣わし、盛者必衰の理で済ますとしよう。
閑話休題。
レターパックには担当司法書士の名刺も同封されていたので、ネットで所在地を調べると事務所は実在し、司法書士の氏名もヒットしたので詐欺ではなさそうだった。
しかし、父には遺産は綺麗さっぱり無かったし、隠し子も隠し財産も作るような器用なことができる男でもなかった。てか、そんな金無かったろ! ははっ。
「被相続人~説明図」の被相続人は父の前妻だが借金も財産だ。おいおいおいちょっとまってくれよ、そもそも被相続人とわたしとはなんの血縁もないだろ。それなのにわたしも相続人になるのか?
それに被相続人も父も平成の時代に亡くなっているのになぜ今頃になってこんなものが届くんだ?
ん〜再びネットで調べると、令和3年4月の法律改正で相続登記が義務化され、正当な理由がなく相続登記をしない場合は、相続人に10万円以下の科料が科されることがあり、相続人はシカトできなくなったようだ。
なぜ、わたしが相続人なのか疑問は残ったが、ならば仕方がない。同封の連絡先記入票にわたしの連絡先を記入して即返送しようとも思ったが、こういう時のわたしは結構慎重なのだ。まだ詐欺ではないかという疑いが晴れなかった。
したがって、身内の弁護士が元日に来訪するので、その時に確認することにしたのだ。
元日、端折って話すが、身内弁護士は「被相続人〜説明図」を見ながら、
「被相続人が亡くなり、藤泉庵さんのお父さんが相続人になり、お父さんも亡くなっているので藤泉庵さんが相続人になったのです。多分不動産(被相続人の住まい等)の話じゃないかなぁ。藤泉庵さんにも1/6の相続権がありますから。仮に借金だったら遺産放棄できます。この司法書士会に連絡先記入票を返送しても問題ないでしょう」
と、言われ、
「何かあったら相談に乗ってくれる?」
と、聞くと、
「もちろん」
と、快く返事をしてくれたので、わたしは忙しない三が日明けの4日に連絡先記入票を司法書士会に返送した。
すると、早速翌5日に名刺の司法書士から電話があった。
内容は身内弁護士が言った通り、被相続人が亡くなり、遺産が父に移り、父が亡くなっているのでわたしも相続人のひとりになったことを言われ、相続するものも不動産だった。
司法書士は、
「不動産は山林になるのですが、土地面積が239平米で・・・」
ん? 239平米ということは70坪はあるな。こう言う時の計算だけは早い。と、いうことはそれ相応の評価額になるのではと思っていたら、司法書士は、
「評価額は5,0**円になるのですが・・・」
と、わたしは「五千」と聞いた瞬間「五千万!?」と、興奮したのだが、あれ?「万」が聞き取れなかったような、それとも司法書士の言い間違えではないかと、話しを先に進めている司法書士に口を挟み、今一度聞いてみることにした。
「すみません。もう一度評価額を教えてください」
「あ、はい、5,353円です。ほんと少額なのですが😅」
「・・・😑」
耳を疑う金額だった。なんだその金額💨
結論を申すと、この不動産の相続を義姉にしてもらいたい。遺産分割協議書を送るので捺印して返送して欲しいというものだった。
為念、当該自治体が発行する固定資産評価証明書の写しと土地所有者が被相続人である資料をFAXで送ってもらい、所在地をGoogleマップで確認したが、偽りはなさそうだったので了承することにし、後日遺産分割協議書が送られてきたのでそれに捺印して印鑑登録証明書の写しと合わせて返送することにした。
還暦の年、こんな感じで幕が上がったのである。
- 都市近郊林地:1,000〜5,000円
- 農村林地:100〜1,000円
- 林業本場林地:100円未満
- 山村奥地林地:100円未満

















