
タイトルは、1984年製作のアメリカ・イタリア合作のギャング映画。超即あんちょこに説明すると、ユダヤ系ギャング(マフィアではない)の友情と愛と裏切りを描いた作品。
わたしはこの映画の完全版DVDを持っているが、先月、妻の仕事関係者のBBQに参加したときにこの映画の話が出て、ふとまた観たくなり、休日自宅で妻と鑑賞した。
もともとこの映画は編集前の撮影済み映像(ストック・フッテージ)は8〜10時間あった。レオーネ監督の編集者は6時間に短縮し、3時間ごとの第一部・第二部の二部構成映画でリリースしようと考えていたが、製作会社から過去の商業的失敗を理由に229分(3時間49分)の完全版に短縮された。しかし、アメリカでの初回劇場公開版では製作会社が更に大幅に短縮し、時系列に編集して139分(2時間19分)にしたため、アメリカでは不評に終わった。
そりゃ不評に終わるだろう。10時間のフッテージを2時間19分に編集されたのだから。いろいろあった1年間の出来事を毎年暮に清水寺で発表される今年の漢字1文字にされたようなものだ。
レオーネ監督は落胆したが、完全版をアメリカで再演すると、ギャング映画の傑作と高い評価を得た。因みに1984年のカンヌ映画祭、ヨーロッパの一部では完全版が、日本では205分(3時間25分)の通常版が公開され、後に完全版が発表された。
ただ、わたしとしては、完全版でも「ヌードルスとイヴの出会い」「マックスとフランキーと警察の関係」「少年時代のヌードルスたちの家庭環境と強盗をはじめたきっかけ」が、描かれていないのはモヤモヤっとしている。
いや、もともとそのようなシーンはジャンプカットされているのかも知れないが、もし、描かれているとしたらレストア版(269分)もしくはエクステンデッド版(251分)にあるのかな。
劇中、頻繁に「デボラのテーマ」が流れるが、郷愁に駆られる=ノスタルジックなこの曲が、バイオレントなギャング映画を和らげる演出をしている。
さて、この映画は時系列にストーリーが進まず、現在と青年期と少年期の3つの時代を行ったり来たりする。4時間近い映画だ。わたしもはじめて観たときは、登場人物も多く、同一人物も少年時代、青年時代で役者が異なるため、人間関係や時系列がこんがらがりそうになった。今後も観ることがあることを考えて、以下にまとめてみた。
禁酒法時代
⦁ 1920年1月16日~1933年12月5日
時系列
⦁ 1919〜1920年:少年期(強盗時代〜ギャング時代)
⦁ 1932〜33年:青年期(ギャング時代)
⦁ 1968年:現在(追想のとき)
誕生年
⦁ ヌードルス:1905年(推測)
⦁ マックス:1905年[*1]
⦁ コックアイ:1907年[*1]
⦁ パッツァー:1907年[*1]
⦁ドミニク:1909~1910年(推測)
1920年時の年齢
⦁ ヌードルス:15歳
⦁ マックス:15歳
⦁ コックアイ:13歳
⦁ パッツァー:13歳
⦁ ドミニク:10〜11歳
死亡年
⦁ ドミニク:1920年(10〜11歳・バグジーに射殺される)
⦁ コックアイ:1933年(26歳・警察との銃撃戦[*2])
⦁ パッツァー:1933年(26歳・同上)
⦁ 替玉マックス:1933年(不明・同上)
⦁ 本物マックス(ベイリー長官):1968年(63歳・ゴミ収集トラックのゴミ巻き込み口へ投身自殺)
ヌードルス刑務所時代
刑期:懲役12年[*3]
⦁ 1920年入所(バグジーを刺殺、警官を刺傷)
⦁ 1932年出所(27歳)
*1 3人の墓石が映るシーンから断定
*2 ※銃撃戦シーンはない。ストーリーの前後の展開から銃撃戦と推測。
*3 1923年入所懲役6年と解説しているサイトもあるが、それでは時系列と計算が合わない。劇中、デボラが出所後のヌードルスに「出所するまであと4344日(大凡11年11ヶ月)・・・3000まで数えてやめたわ」と、言うシーンがある。
最後に、エピローグはチャン・ラオが経営するチャイニーズ劇場に隠されたアヘン窟のベッドに仰向けに寝ているヌードルスの笑い顔が、ラストカットとして映し出されたままエンドロールが流れる。
観た人の中には、「なぜ、ヌードルスは笑ったのか」と疑問を抱く人もいると思うが、あのラストシーンは1968年現在ではなく、1933年のシーンであり、替玉マックスら3人が警察との銃撃戦で死亡した直後のアヘン窟での冒頭シーンなのである。
ヌードルスは警察にマックスを売り、マックスはギャングスターを使ってヌードルスを殺そうと企んでいて、お互いに裏切っていた。したがって、ラストシーンのアヘン窟でラリっているヌードルスの頭の中には、きっとマックス、コックアイ、パッツァー、ドミニク、モー、デボラ、ペギーと過ごした少年時代の裏切りのない友情と愛を思い出した笑顔だったのではないだろうか。
そう解釈しないと、この映画における「ワンス・アポン・ア・タイム イン・アメリカ」の意味が、最後の最後で台無しにされた思いがしてならないのだ。

【洋題】Once Upon a Time in America
【監督】セルジオ・レオーネ
【出演者】
⦁ ヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)/少年時代(スコット・ティラー)
⦁ マックス(ジェームズ・ウッズ)/少年時代(ラスティ・ジェイコブズ)
⦁ パッツィ(ジェームズ・ヘイデン)/少年時代(ブライアン・ブルーム)
⦁ コックアイ(ウィリアム・フォーサイス)/少年時代(エイドリアン・カラン)
⦁ ドミニク(ノア・モアゼッチ)
⦁ デボラ(エリザベス・マクガヴァン)/少女時代(ジェニファー・コネリー)
⦁ ファット・モー(ラリー・ラップ)/少年時代(マイク・モネッティ)
⦁ ペギー(エイミー・ライダ)/少女時代(ジュリー・コーエン)
⦁ イヴ(ダーラン・フリューゲル)
⦁ フランキー(ジョー・ペシ)
⦁ バグジー(ジェームズ・ルッソ)
【音楽】エンニオ・モリコーネ
【公開】USA:1984年6月1日/日本:1984年10月6日
【上映時間】
⦁ 初回劇場公開版 USA:139分/日本:144分
⦁ 劇場再公開版 日本のみ:205分
⦁ 完全版:229分
⦁ エクステンデッド版:251分
⦁ オリジナル版:269分


















