
先日、市川市霊園にMさんと故友人の墓参り行った帰りに昼食を取った。
この日は朝から無性に天ぷらが食べたかったわたしは、昼食は天ぷらを食べようと決めていたのだが、そのわたしのささやかな楽しみと欲求と欲望を無下にするように、兎に角 “とんかつ” が食べたかったMさんは、引き出しの少ない頭で、“ザ・とんかつ” を思い描き、“かつ太郎!” を訴える鋭い視線をわたしにぶつけ、真っ向から一触即発の構えで対峙してきたのである。
しかーし、何が何でも天ぷらが食べたかったわたしは、こういう時の戦略も戦法も持ち合わせない緩みっぱなしのMさんを一蹴するが如く、
「かつ太郎でなくても “とんかつ” はある💨」
と、板垣死すとも自由は死なず! ばりに息巻いて、かつ太郎さんを誹謗中傷する言われも所以も持ち合わせないが、”かつ太郎断固反対!” と、ひとりシュプレヒコールをした甲斐あってか、昼食は『はな膳』で取ることになったのである。かつ太郎さんごめんなさい。
はな膳市川大野店に入店して席に着き、わたしはメニューから『海老と野菜の天丼ちょいそば(十割せいろ)セット』をお花畑気分で注文することにしたのだが、向かいのMさんの顔色は食傷気味をここぞとばかりに醸しだし、食べ物を決めあぐねていたのである。
思い起こせば1ヶ月ほど前に、
「墓参りに行こうよ」
と、わたしを誘ったMさんは、「この日はとんかつ食べるんだ」と、アラート機能付きタスク管理をしていたのだろうか、この日の朝も定刻前にわたしの自宅まで車で向かいに来てくれて、墓前に手向ける花、線香、日本酒、ビール、マッコリ、ハイボール、焼酎サワーはすべてわたしが買い、
「なんちゅう運転しとん💨」
と、いつもイライライライラしならがMさんが運転する車に乗ってるが、まぁ、一緒にいると動いているだけで楽しませてくれるMさんの「とんかつ食べたい」が切なく感じましてね。
ひょっとしたら、この日、Mさんと別れた後、彼がなんらかの理由で死んじまったら現世で最後に食べた料理が、食べたい食べたいと懇願していた “とんかつ” でないことになる。こりゃ、Mさんが哀れだ、惨めだ、悲愴だ。夜な夜なわたしの枕元に怨霊となって現れるかもしれない。食い物の恨みは怖いですからね。情け深いわたしは、
「ここは、軽く食べて『かつ太郎』に行こうか😊」
と、なけなしの笑顔でMさんに微笑んだら、
「うん! じゃぁオレ、せいろ!」
って、水を得た魚のようにピチピチした表情で注文していましたよ。あんた、わたし以上に現金だね。
かつ太郎に行くとなれば、わたしも注文したものを全部食べるわけにはいかない。そばをすすっているMさんに、海老の天ぷら1本とかぼちゃの天ぷら半切れをそれとなくあげたが、「ありがとう」の一言もなく、モソモソと食べるいつもの彼😑
かつ太郎に移り、Mさんは熟成厚切り300gのカツ定食をペロリ。写真はわたしが食べた定食の海老フライ、牡蠣フライ(2つ)、ヒレカツ。この日は夜になっても腹が減らなかったのである。


















