高3の授業中での思い出。自習だったので、わたしの左斜め後ろの席の女子が、
「上唇と下唇をつけないで “北海道” って言える?」
と、唐突に聞いてきたのだ。
わたしは、上唇と下唇が接触しないように唇を尖らせて、
「ほっかいどう」
と、言うと、その女子は爆笑して、破裂音を含まない “ほっかいどう” は、上唇と下唇が触れ合うことなく発音できることを種明かしした。なるほど、このことを知らない人がどんな表情で “ほっかいどう” と発音するのかを楽しむいたずらだったのだ。
やられたら誰かにやってみたくなるのは、世の常、人の常。早速、放課後担任にやってみたら、わたしと同じように唇を尖らせて、「ほっかいどう」。種明かしをしたら、ムッとして無言で立ち去った。
次に理科の教師にやってみたら、上唇と下唇を付けないように一文字にして歯をむき出し、ニッとした表情で「ほっかいどう」。こちらにも種明かしをしたら、真顔になり無言で立ち去った。
ふたりは職員室で、「藤泉庵にやられた」と、悔しがったそうだ。
先日のクラス会でも友人に、
「上唇と下唇をつけないで “北海道” って言える?」
と、聞いたら、
「何それ?」
って表情をして一瞬固まっていた。今でもこのいたずらを知らない人はまだまだいるようだ。

















