台風の夜

 久々の大型台風だった。深夜のわたしはそんな中、自宅2階の自室でパソコンに向かいネットサーフィンをしていた。築50年近い木造日本家屋の我が家の2階は揺れるし、すきま風は入り込むし、こりゃ震度5の地震がきたら、間違いなく全壊するであろう老朽した建物である。ガス・石油ストーブや湯沸かし器による一酸化炭素中毒の事故がままあるが、年老いたすきま風流通建物と化した我が家にはまったく関係なく、むしろそんな事故を起こすような気密性の高い密封した建築物を造るほうがおかしい、住むからいけない。と、ひがみも言いたくなる。

 深夜、急にプロコフィエフのピアノ協奏曲第三番が聴きたくなった。

 ほにゃ~とはじまるクラリネットの独奏から弦楽器、木管楽器と徐々にオーケストレーションの広がりを感じさせる合奏は、深い霧の中を漂うような幻想的な気持ちにさせる。

 その後、その深い霧の先に一点の光でも見えたのか、はたまた霧が晴れてきたのか、リズミカルにバイオリンがさらに合奏は盛り上げ、そして、気でもふれたのかと言わんばかりのピアノの演奏がはじまる。

 バイオリンもこのトチ狂ったピアノの演奏に引きずり込まされるようにして協奏をはじめ、仕舞いには打楽器までもが調子に乗ってはずみをつけだす。

 第一楽章、第二楽章、第三楽章と全般的にフォルテッシモのハイテンポとピアニッシモのローテンポの起伏を繰り返し、覚醒させるような感覚を醸し出しているこの曲が、深夜の台風に合っている。

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