秋刀魚の味

「夕飯何にする?」と、母に聞かれ、わたしは頭の中に真っ先に秋刀魚の塩焼きが浮かび、「秋刀魚」と、即答した。夕飯は秋刀魚の塩焼き。家の者は秋刀魚の腑(はらわた)が嫌いでそこだけは箸で取り除きわたしの皿へ。この苦み旨いのになぁ。

 ところで、秋刀魚の塩焼きはどのように食べる人が多いのだろうか。居酒屋では秋刀魚が盛られた皿の隅に一つまみの大根おろしが盛られることが多い。これに醤油を垂らし、箸で一口大にした秋刀魚に大根おろしを乗せて食べる人が大半なのかな。

 我が家の場合は、予め小皿と中皿の中間、帯に短し襷に長しの皿に多めの大根おろしを入れておき、これに醤油を垂らしておく。なお、おろし汁は大根おろしが浸るくらい入れておくのがポイント。〆の楽しみのために。

 一口大に取った秋刀魚の肉を大根おろしの皿に入れ、大根おろしを絡めて食べる。この食べ方を繰り返すと段々と大根のおろし汁に秋刀魚の味が染み渡っていく。

 晩酌も終わり、ご飯を一膳少なめに盛り、その上に秋刀魚の味が絡んだ大根おろしを茶碗に全てかけて軽くかき混ぜ、さらさらっとお茶漬けを食べるようにしていただく。ごちそうさまでした。

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