
2006年市川崑監督作品の「犬神家の一族」がロードショーされた。この映画は1976年同監督の同映画のリメイクである。1976年作品の「犬神家の一族」は映画としての完成度が高く、納得のいく作品であったのに、なぜリメイクしたのか、する必要があったのか疑問だった。
まぁ、出来てしまえば、1976年作品で感動したわたしは期待もせずに2006年作品を観る羽目となる。思った通り期待も感動もなく見終わり、新旧作品の比較のみだけであった。改めて昔の役者はうまかったなぁと感じた。その極めつけは、はる役で出演した1976年作品の坂口良子と2006年作品の深田恭子だった。
はるの設定は金田一耕助が宿泊している那須ホテルで働く女中の役だが、金田一耕助は大学の先生に依頼したたばこの成分調査の結果を知るためにはるを使いに出す。その報告を食堂(定食屋)で金田一耕助がはるから聞くのだが、はるがうどんを食べている最中に金田一耕助は質問すると、はるは箸を止め、認めた紙を見ながら金田一耕助に説明をする。そして金田一耕助は聞き終わると、はるに、
「ささ、お食べなさい、お食べなさい」
と、うどんを食べるようすすめるが、はるがうどんを食べ始めるとまた質問をする。そして、このやり取りを繰り返しているうちに、はるは仏頂面をしてうどんを食べるのをやめて箸をおいてしまうのだ。それを見た金田一耕助が、
「どうしたの、食べないの?」
と、聞くと、はるは、
「だって、食べてる暇がないんですもの」
と答える。
すると、金田一耕助ははるが那須ホテルに戻る時間と勘違いして御勘定をしようとするのだが、はるは食べてる最中に質問攻めされて落ち着いてうどんを食べることができないことを言っていたのだ。クスッと笑えるシーンなのである。
田舎娘も感じない深田のぶっきらぼうで抑揚のない台詞と淡泊な演技からは、このやり取りが微塵も感じ取ることができなかったのである。





















