小学校1、2年の頃、スポーツと言えば野球か相撲だった。土曜日の授業は午前で終業し、午後は野球で遊ぶことが多かった。当時は1クラス40人は下らない生徒数で半分は男子だったので、充分に2チームが作ることができた。とは言っても18人は集まることは少なく大概は外野はひとりだったり、ショートがいなかったり、キャッチャーは両チームを兼任したりしていた。
土曜の授業が終わると一目散に帰宅してささっと昼食を済ませて、バットとグローブを持って自転車で空き地へ向かった。今では空き地を探すのが大変な時代だ。あったとしても柵や鉄条網で囲われ立入禁止の立て看板が掲げられていて空き地を使うこともできない。当時は至る所に立入禁止の立て札もない空き地があった。誰が付けつのか「正方形」と「長方形」という名の空き地もあり、「正方形」はグランド1つ分もない広さで、「長方形」は優にグランド2つが作れる広さだったので、「長方形」で野球をやることが多かった。
野球をやっていたのはわたしたちだけではなかった。他の学年の生徒たちも野球をやっていたので、空き地の場所取りには苦労した。そのため、毎回仲間の誰かが、空き地占有当番をやっていたが、空き地にいちばん近い家の仲間が担当することが多かった。
一度だけ、後から来た一学年上の生徒に、
「どけどけ」
と、言われ場所を横取りされたことがあった。小学生１学年の力の差は大きい。シャクでくやしくってたまらなかったが、ケンカで勝てる相手でもなく諦めるしかなかった。しかし、こんなとき必ずひとり気の利いた仲間がいて、一学年上の生徒たちが集まり出した頃には、さっさと別の空き地を探し出し、その空き地へ仲間の移動を促して野球をやったこともあった。
「長方形」の場所取りも近くに住んでいた友人がやっていた。すると、またまた違う一学年上の生徒が現れた。この時は、「どけどけ」と言われる前に、先手を打ち、
「ボクたちが先に場所取ったんだからね」
と、頑として譲らない態度を取ったら、
「わかってるって、わかってるって」
と、笑顔を見せながら反対側に行った。余談だが、この一学年上の生徒は、わたしが高学年の時に所属したサッカー部にもいて、面白くて頼り甲斐のある兄貴分の先輩だった。
不思議なことに、同学年で場所取りをしたことはなかった。いや、他のクラスが野球をやっていたのだろうか。ひょっとしたら、わたしのクラスだけ野球が盛んだったのかもしれない。
小３のクラス替え後は、今まで同じクラスだった野球少年たちが他のクラスになったことで、小３、４はクラス対抗戦になって草野球は続いた。投げて打って取って走っての単純なスポーツだが、なんであんなに熱中したのだろうか。相撲と同様に楽しかった思い出として残っている。
