昨日は友人とJR線で房総の旅をした。タイトルの通り料金は150円。決して不正乗車ではない。不正だったら投稿はしていない。
大回り乗車とは
大回り乗車とは遠回りのこと。例えば、東京ー有楽町1区間料金はIC146円（切符150円）。東京駅から山手線外回り・京浜東北線南行に乗車すれば2分で有楽町に着くが、画像の通りどの経路でも料金は変わらない。
画像の前提条件
- 路線は山手線、総武線、中央線、京浜東北線のみとする
- 駅の重複通過はしない
補足
- 2〜5が大回り
- 山手線 外回り＝時計回り、内回り＝反時計回り
- 京浜東北線 北行＝大船→大宮、南行＝大宮→大船
大回り乗車ルール
- 大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券や普通回数乗車券を持っていること
- 定期券は利用できない
- 経路内で同じ駅を2度通らない（重複しない）こと
- 途中下車しないこと（改札の外へ出ないこと）
『旅客営業規則 – 第2編 旅客営業 – 第4章 乗車券類の効力 – 第2節 乗車券の効力 – 第157条2項』により、遠回りしても不正ではなく、また、大都市近郊区間内のみ『運賃計算の特例』があり、実際に乗車する経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することが出来るので、今回の房総大回りが可能となる。
『──第157条2項』『運賃計算の特例』については文末にリンクを貼ってあるので、興味のある人はご確認ください。
なお、JRの業務用語に「大回り」はない。乗り鉄ファンが作りだし波及していった言葉だ。
いざ、房総大回り
JR東日本アプリで経路検索をするといちばん安い料金はIC146円（切符150円）だ。
したがって、西船橋駅から1区間の150円切符を購入して、アプリが示す経路の通り房総大回りを開始した。
大回り経路
西船橋→南船橋→蘇我→君津→安房鴨川→上総一ノ宮→大網→成東→佐倉→千葉→船橋
大回り不成立経路
西船橋→南船橋→蘇我→君津→安房鴨川→上総一ノ宮→大網→蘇我→千葉→船橋
蘇我駅を2度通過するので大回り不成立となる。料金4,400円。
距離は279.7km。大凡、新幹線で東京駅から福島駅1.5里先、東京駅から浜松駅と豊橋駅の中間、新大阪駅から三原駅2里先の距離になる。
移動時間は6時間42分。新幹線で新青森〜東京、東京〜岡山、新大阪〜熊本がそれぞれ往復ができ、博多〜鹿児島中央は5往復半できる距離になる。
感想
大回り乗車ははじめての経験だった。蘇我から君津までの車内の乗車数は数える程度だった。車窓から内房では東京湾側、外房では太平洋側の景色をぼーっとのんびり楽しみ、所々で写真も撮ろうと思っていた。
ところが、君津駅で2両編成の内房線に乗り換えると車内の混雑率は50％（ほぼ座席が使われている状態）。そして、大貫駅でどっと高校生集団が乗ってきたのを皮切りに、その後もいくつかの駅でも高校生集団の乗降があり、ドア付近に立ってる生徒らもいて安房鴨川まで混雑率は変わらなかった。卒業式シーズンで春休みも近づき下校時間が早いのだろう。
車内から外の景色を撮ろうにも高校生たちも被写体に入ってしまう。それにわたしの正面に座っていたマスクをした女子高生はいつの間にか顔を上にして熟睡しだし、恐らくマスクで隠れた口はあんぐりと開いていることだろうと見ていたら、あら？ あらららら？ スカートを履いた “おみあし” が段々と開いていき、目のやり場に困り、加えて右を見ても左を見ても高校生だらけ。
このような状況で外の景色を撮ったもんには、盗撮を疑われる恐れもある。一気に撮影する気持ちが失せた。
なお、わたしたちの向かいの席にずらっと並んで座っていた女子生徒たちは、上総湊駅で乗ってきて、安房鴨川駅で降りましたよ。両駅を直線で結んだら内房線の半分以下の距離になるのに、彼女たちはそれこそ大回り通学しているんですね。
次回房総大回りをすることがあれば、時期を考えて行くとしよう。
大回り乗車が規制されない理由
簡単な話、不正ではないから。それに大回り乗車を規制するとしたらどのように規制する？ 痴漢探しで駅構内に張り込みをしている私服警官のように、大回り乗車しそうな服装・持ち物・顔つきを判別して尾行しなければならないし、容疑者だったら駅ホームの監視カメラの映像を調べたり、聞き込みしたりしてウラを取らなければならない。高い人件費と時間がかかることだろう。
入場券での駅改札内滞在時間は2時間まで。2時間を超えると追加料金が発生する。しかし、東京の電車特定区間内の入場券は大人150円、子ども70円 。複数先の駅に用事がある場合、しれっと入場券で移動して戻ってきた方が安上がりだ。検札がない限りいちいち調べられることもない。
ICカードや切符で出発駅の自動改札を入り、公表はされていないが一定時間を超過して、到着駅の自動改札を出ようとするとドアが閉まり出られないことがある。有人改札で事情を話して改札を出なければならないが、これまた調べられることもなければ、追加料金が発生した話も聞いたことがない。
昔の駅改札内には、キオスクか立ち食い蕎麦屋くらいしかなかったが、今はグランスタやエキュートなどの商業施設がある駅もある。
朝に出発駅改札内で買い物を楽しんでいたら昔の知人に会い、飲食店に入ったら会話が弾み、東海道本線でひと駅の到着駅に着いた時は夕方になり、自動改札から出られず、有人改札で事情を説明して出してもらった人もいるようだ。この人は半日は出発駅改札内にいたことになるが、不正を働いたわけではない。
大回り乗車も同じだ。そもそも仕事でも買い物でも旅行でも鉄道で目的地まで行くには、最短時間もしくは料金が安い最短時間の経路を選択すると思う。
大回り乗車は、乗り鉄のように何か理由がある場合に限られ、そのような利用者は超極小だろう。大回り乗車でJRの売上が減少しているなんてニュースも聞いたことがない。
2025年3月期のJR東日本の経常利益は3150億円（前期比6.2%増）、JR東海の連結純利益は3920億円（前期比2%増）、JR西日本の純利益は1000億円（前期比1.3%増）、JR九州の経常利益は567億円（前期比15.9%増）となる見込みだ。微々たる大回り乗車如きで、あたふたするJRではないのだ。
それでも、
「不正じゃなくても大回り乗車はするものじゃないよ」
と、言われるのであれば、わたしはこう答えることだろう。
う っ せ ぇ =3
因みに今回の大回りと同じ経路で安房鴨川で “途中下車” した場合、西船橋〜安房鴨川（1,980円）、安房鴨川〜船橋（1,980円）、合計3,960円になる。
さて、予定通り16時59分に房総乗り鉄の終点船橋駅に着いた。自動改札で切符を入れるとアラームが鳴りドアが閉まり出ることができず、有人改札で駅員に切符を出して、
「大回り」
と、告げると、駅員は、
「はーい」
と、切符を受け取り改札を出た。
そして、このまま「バイビー」と、別れるふたりではない。旅の慰労会がはじまり、夜が更けてゆくのであった。お疲れ様でした。
