凹む

 妻と買い物に行くのに車庫から車を出した。そして、シャッターを閉めて車に戻ろうとしたら・・・ん? くるま、動いてね😳

 車庫の前でジーっと車を凝視すると疑う余地なし。
「すみません、駅はどちらでしょうか」
 と、道を尋ねるようにして、車がゆっくりとバックしてこちらに近づいてきたのだ。

 あ゛ー! サイドブレーキ掛け忘れた😱

 慌てて車のトランクに両手を当てて、車押しの格好で車を止めたが結構力がいり、車の重さを改めて実感した。そして、助け舟として玄関で待っている妻を二度三度呼んだがうんともすんとも返事がない。待てど暮らせど現れもしない。くそ、何やってるんだ。

 そう、いつもは妻も車庫まで来て、車を出庫すると妻がシャッターを閉めていた。しかし、この日は妻に、
「玄関で待ってていいよ」
 と、言ったんだよなぁ・・・なんでだろ?

 よし、こうなったら、自力でサイドブレーキを掛けるしかない。でも車を抑えていないとすぐに動き出す。ルフィか鎌爺になりたい。

 そうだ💡

 車がバックしてこないところまで押し戻せばいいんだ。わたしは全体重をかけて車を押した。すると今度は前へ動き出したのだ。

 ひょえー💦

 こうなるともうどうにでもなれって感じだ。一か八かで車から手を離すと、可及的速やかに運転席のドアを開けてサイドブレーキを掛けることに成功した。まじ、自宅の塀に車のフロントバンパーをこする寸前でしたよ。ギリギリセーフ。

 乗車して玄関前に行こうとすると妻が近所の奥さんとその娘さんのふたりと話をしているのが見えた。こっちは必死こいていたのに、そっちは話に夢中だったのか。

 話が終わり、車に乗り込んできた妻に、
「なにやってるんだ」
 と、文句を言い出そうとしたら、妻は口を挟み、お身内に不幸があった話を聞いていたので直ぐに行くことができなかったと返した。

 そう言われるとふたりが着ていたコートの下は黒服だったような気もする。止むに止まれぬ会話だったってことか、ならば仕方ない。それに元はと言えば、わたしがいけないのだから。


 YouTubeにはサイドブレーキの掛け忘れが原因で事故った動画が内外いくつもアップされている。サイドブレーキを掛け忘れるなんてありえないだろと、心底軽蔑していたのに、わたしも初歩的ミスを犯すバーローになった。

気をつけよう 特殊詐欺とサイドブレーキの掛け忘れ

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