
昨夜から今日の昼食は、身も心も歯茎も唾液も味蕾も胃酸の排出量も頭のてっぺんから足のつま先まで、鳥肌さえも「中華や」のホイコーロー(回鍋肉)定食と決めていた。
小学時代、遠足前夜はワクワクドキドキしてなかなか眠れなかったものだった。昨夜布団の中ではそんな感覚につつまれるほど、中華やのホイコーロー定食が食べたかったのだ。
午前中も頭の中に思い描くものはホイコーロー一色!
ホイコーロー命!
ホイコーローネ申!
この時のわたしはどんな高級料理よりも全身全霊を込めてホイコーローが食べたかったのだ。
そして待ちに待った昼時、いつものように時間をずらし、13時過ぎに森下駅に着き、ホイコーロー! ホイコーロー! と、つぶやきながらA2出口から一歩ずつ中華やをめざしていた。
ところが、中華やがある十字路近くになったら店内が暗い。ドアにぶら下がっている “ 営業中” の札も遠目で視力検査をするようによ〜く見ると “準備中” の文字に見える。
ははっ、最近老眼が進んだからなぁ、 “ 営業中” と “準備中” を見間違えだろう。と、入口に立ったとき、あたしゃ愕然としましたよ。悪い夢でも見ているのかと思いましたよ。
札には確かに “準備中” の文字。加えて、入口には大きな張り紙に『12月1日(月)から営業いたします』と、くっきりはっきり大きな文字で高らかに書かれていた。
夢ではない=3
(இ﹏இ`。)
その後のわたしの足取りは泥濘(ぬかるみ)を歩いているように重たいものだった。しかし、何か食べなければと両国駅方面に向かったが、果たして何を食べよう。
正直もうなんでもよかった。自棄(やけ)のやん八になっていた。で、衝動的に千代福で大串(お新香、肝吸い付き)を食べることにしたのだ。
冒頭で申しましたが、わたしの全身はホイコーロー受け入れ態勢だったんです。蒲焼きを食べながらも頭からホイコーローが離れない。
皆さん、わたしのこの気持ち分かりますか?
千代福さんに他意はございません。
うなぎも鹿児島産の国産です。
でも、ごはんの量少なくね?
不完全燃焼の昼食であった。


















