そうだ 京都、行こう。

 去る7月22日、姪の結婚式披露宴が京都でつつが無く執り行われた。わたしと妻は出席のため前泊して21〜23日の2泊3日で京都へ行ってきた。

 21日、京都駅を降りるとこの日は湿度が低い分、東京より暑さは凌ぎやすかった。新幹線ホームから構内へ下ると、かねと笛の音で祇園囃子コンチキチンのBGMが小気味よく流れていた。祇園祭期間中流れているのだろう。四条通りも同様だった。宿泊は先々月と同じ「ダイワロイネットホテル京都四条烏丸」にチェックインした。

 そして、先月親戚の書家展を鑑賞した大阪天満橋の「The 14th. moon」へ行き、還暦間近の妻への誕生日プレゼントとして、ガラス細工のネックレスを購入したら、妻は帰り京都の百貨店に寄り、有名デザイナーのサスペンダーとカフスボタンを購入して、倍返しのプレゼントをしてくれた。兎に角何から何までわたしより上の立ち位置にいないと気が済まない妻だ。


 22日、前日妻がプレゼントしてくれたサスペンダーとカフスボタンを早速礼服のズボンとシャツに使わせてもらい結婚式披露宴に出席した。

 会場は1870年創業の「鮒鶴京都鴨川リゾート」。国の登録有形文化財の木造建築建屋の老舗料亭旅館だ。

 昨年9月「SH by the square hotel京都木屋町」に宿泊した時、妻と木屋町通〜先斗町を散策していたら、敷居の高いレストランなんだろうなぁと鮒鶴京都鴨川リゾートを横目に素通りした覚えがある。

 正門をくぐり、二間の玄関へ目をやると、一般的な土足厳禁、靴を脱いで廊下に上がる作りになっていたが、現在はそのまま土足で入れるようになっていた。

 日本人の履物は草履、雪駄、下駄など脱ぐのも履くのも容易だった。しかし、明治になり日本は西洋に近代国家と認められるようになるため、一辺倒の座る文化に腰掛ける文化が加わり、衣服も文明化のため洋服を着用しなければならなくなり、履物もシューズになった。

 そして、時代は現代に下り、この老舗料亭旅館も元々は鴨川沿いの納涼床も含め座敷だったが、外国人客への配慮と日本人の畳敷き離れの時流が座敷からテーブルに変えていったのだろう。

 店側としては土足厳禁の方が館内の汚れも床を傷つけることも少なく清掃も楽だと思うが、客側としては特に紐靴は脱いだり履いたりするのが面倒なので土足のまま上がれるのはありがたい。また、膝への負担を考えると正座やあぐらをかく座敷より腰掛ける椅子とテーブルの方がいいだろう。

 ただ、正門から玄関までの石畳のアプローチを隣の喫煙室から眺めていたら、往時のお客のジャリジャリと雪駄で歩く音やカランコロンと下駄で歩く音が聞こえてくるような情緒を感じた。


 1階の新郎新婦親族控え室へ行くと、出入口は新郎側と新婦側に分かれていて、部屋の中央にはお互いの親族が見えないようにカーテンで仕切られていていた。

 しばし身内で茶っかましていると、係員が来て、
「これから、皆様にはご新郎親族様に自己紹介をしていただきます。ご新婦様との続柄と氏名を言ってください。まずご新婦のご両親様、その次に近しい方から順にお並びください」
 と、説明をされた。
 そして、1列に立って並ぶとカーテンが開けられ「ご対面」になった。
 これって「パンチDEデート」だよね。


 お互いの紹介を済ませると、1934年に導入された蛇腹式の扉を手動で開閉するレトロなエレベーターに乗り、4階最上階チャペルで外国人牧師のもと挙式を行い、その後3階GRAND BALL ROOM(披露宴会場)へ移動した。複数の丸テーブルが設営され、現在は洋間で170名までの収容たが、昔は畳敷きの座敷で500名収容できたそうだ。

 この建物自体がアンティークなので、いるだけで古き良き時代の郷愁に誘われ、わたしは京都の名士になったような気分になる。

 なお、夏限定で鴨川沿い納涼床でランチ、ディナーが楽しめる。披露宴が終わったディナー時の納涼床には、若中年層のお客も多かったので、世代を問わず人気のあるレストランなのだろう。

 新郎新婦よ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くし、これからの人生をお過ごしください。


 23日最終日、京都に来てどこも観光しないで帰るのは勿体ない。今回はCMでも宣伝していた、六波羅蜜寺ろくはらみつじの開祖「空也上人くうやしょうにん」の仏像を鑑賞した。

 六波羅蜜寺本堂内の右側に展示されている像は模刻像(レプリカ)。よって撮影はOK。本物は本堂裏の「令和館」に安置されている。館内撮影はNG。

 模刻像は東京藝術大学大学院文化財保存学彫刻研究室に在学中だった堂本寛恵氏が2年間かけて作成したもの。本物と見紛うほど精巧に作られていて令和館の係員も絶賛するほどの出来だ。

 なお、空也上人像の開いた口から現れる6体の阿弥陀仏は、空也上人が「南・無・阿・弥・陀・仏」とお念仏六字の名号を唱えると、その声が阿弥陀如来の姿に変わった伝承を表している。


 鑑賞後は先斗町に入り、良さげなお店「天心」で昼食を取った。生ビールで乾杯し、日本酒は『まるたけえびす』と『玉乃光』をシェアし、料理は単品で鱧の天ぷら、ランチメニューは、妻はおばんざい三種盛りと鴨鍋のセット、わたしはおばんざい三種盛りと牛すき鍋のセットを注文した。日本酒はいずれも京都のお酒で飲みやすかったが、味の濃い肉料理には『まるたけえびす』の方が合う。

 日中の先斗町は閑散としたものだ。このお店はご夫婦でやっているようで、呼び込みを交代でやっていた。つまり店内はお店の人がひとりになるわけで、ひとりでも問題ないほど客数が少ないということになり、わたしたちが入った時も奥のテーブルに会話を聞く限りドイツ人らしきお客6人がいるだけだった。その後もお客はわたしたちの他に2人増えただけだった。しかし、失敗したということは全くない。美味しいランチだった。夜は結構お客がくるのかな。

 妻は鴨鍋の汁の味が相当気になったようで、出汁は何を使っているのかお店の人に聞いてみると言い出した。わたしは、教えてくれるわけがないのでやめとけと言ったのに、それでも妻は会計時に聞くと案の定、
「それは、企業秘密なので教えられません😅」
 と、言われた。当たり前だ💨
 ま、時には妻のこの図々しさを見習ってもいいかも知れないと思ったけどね。

 なお、某サイトの口コミには5点評価の1点を付けた人もいた。コメントを読むと、そりゃ京都人だから仕方ないでしょう。とお店をフォローしても‪いい内容だった。というのも以前、大阪出身の妻方親戚から、京都人はのんびりしてるで。呼んでも返事はしない、返事をしてもすぐに来ない。注文したらしたでなかなか出てこない。話し方だけが柔らかい人種なんや。と聞いていたからだ。

 実際、京都で外食したのは4回目だったが、このお店を含め皆大なり小なりそんな感じでしたよ。つまり京都の小料理屋や居酒屋で飲む時は、京都人対応の心構えでいないとイラつくことばかりなので、こちらもおっとりいきましょう。

 口コミに1点を付けた人も恐らく京都人のことをよく知ら・・・京都人じゃん😆 ん〜身内同士は身内で解決してください。コメントするまでもないでしょう。因みに食べログ評価では3点以上。わたしも2.5〜3点は付けるかな。

 そうそう、セットメニューには赤だし汁と書かれているのに出されなかったのだ。食事中に妻が忘れているのかもしれないとお店の人に指摘すると、鍋を注文された場合は出ないと言われたのだ。しかし、メニューにはそのようなことが書かれていなかった。

 すると、お店の人はそれに気がつき、
「あ、そのこと書いていませんでした。すみません」
 と、謝ってきたので、差し支えありませんと食事を続けていると、
「書いていなかったので」
 と、赤だし汁を持ってきたのだ。
 そんな気を使わなくてもいいのに。
 こんな時は京都弁で、
「おおきに」
 と、お礼を言えばよかったのだろうか。


 昼食を済ませ、四条通りに行き、錦市場商店街で買い物をした。祇園祭期間と日曜日が重なったからなのだろうか、初詣か民族大移動かと思うほど、国際色豊かに人人人が入り乱れ賑わっていた。この日は暑かった。わたしはいつものようにグロッキー状態。でも、妻はいつもながらに元気。なぜだ⁉️

 昼下がり過ぎに買い物を済ませ、早めに京都駅に戻り八条口南北自由道路のミスト付きベンチで一休みしてから、新幹線改札内の待合室で1時間半ほど休憩した。居眠りして、備え付けられたテレビで大相撲千秋楽を途中まで見て、夕刻の上り新幹線のぞみ号に乗車し帰路に着いた。お疲れ様でした。

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