お米の研ぎ方

 2月のそれはそれは寒い日のことだった。妻からお米を研ぐよう頼まれたわたしは、キンキンに冷えた水道水が使いたくなかったので、給湯器のぬるま湯でお米のゆすぎと研ぎを行い、最後だけ水道水を浸してご飯を炊いた。

 そして、妻にこの事を話すと、
「あほか💨 お米は水を吸収するのが早いのにお湯使ったら更に吸収するじゃない」
 と、言ってきたが、まぁこの返しは想定内のことだった。しかし、水よりぬるま湯で炊いた方がおいしいという人もいるし、ゆすぎも研ぎも水を使おうがぬるま湯を使おうが分かりゃしねぇよと思ったのだ。

 だって、そうではないか。「べちゃべちゃ」「柔らかい」「硬い」「米糠臭い」「パサパサ」「カピカピ」などのご飯の批評やお米の銘柄を聞くことがあっても、「お湯でゆすいだろ」はただの一度も聞いたことがないからだ。

 さて、お米は水に浸した瞬間、吸水可能な量の60%もの水分を吸い込んでしまうと言われているが、この動画(【決定版】 お米のとぎ方〜お米はとぎ始めの水を吸収しません。)では、検証として最初のゆすぎでお米が水を急激に吸収するかの水に食紅を入れた実験をしている。

 すると、ゆすぎ1回で研ぐとお米に少~しだけ赤みがあったが、ゆすぎ2回で研ぐとお米には赤みが無かった。つまり、ゆすぎ1回で研いだお米の赤みは付着水であり、お米が浸水した瞬間に急激に水分を吸収することはないことを実証している。ゆすぎは2回してからお米を研ぐのがいいと述べ、浸漬したお米を15秒後と45秒後に測ったら重量は同じだったという論文もあることを付け加えている。

 その他、最初のゆすぎでミネラルウォーターを使い、後は水道水を使うのではなく、炊く時にミネラルウォーターを使うのがいいと述べている。そりゃそうだよな、最後の水でご飯が炊き上がるのだから。

 別の動画(五ツ星お米マイスター西島 豊造さんに教わる「美味しいお米の研ぎ方」)では、「今の炊飯器は性能がいいので炊く前の浸水時間は気にせずすぐに炊飯して大丈夫」と述べている。また、この動画ではコシヒカリを使っているが、全般的に言えることなのだろう、炊き上がったらすぐに炊飯器の蓋を開けてほぐすことを勧めている。ほぐしを忘れるとコシヒカリの甘さが全部下に落ちて、上は味がなく下はベトベトの感じになるそうだ。


 兎に角おいしいご飯を食べたいのなら、まずはブランド米の特Aを選ぶことだろう。そして、お米のゆすぎと研ぎは、合数で回数は変わり、食べる人の好みでご飯を炊く水の量も変わり、炊飯器の性能でも変わり、新米古米品種で調整が必要なのだから、臨機応変に適当でいい。適当とは適して当たる、ちょうど良い具合のことなのだから。

 うちは主に近所のスーパーの特売日に秋田県産より安い『千葉県産こしひかり』10kgを買って不平不満もなく食べているが、昨年保険屋のねーちゃんが持ってきた『長狭米こしひかり』はおいしかったなぁ。一口食べて「旨っ」と感じ、夫婦して他の料理ほったらかしでご飯だけパクついていましたよ。

 わたしが小学生の頃の給食で出されたカレーライスのご飯はなんじゃらほいだったが、今はスーパーで売られているお米も底なしに「不味っ」って感じるものはないんじゃないかなぁ。場末の定食屋でも「これ、飼料だろ💨」と、ぺっぺっしたくなる不気味なご飯を出すところはないだろう。米農家も切磋琢磨しておいしいお米を作らないと売れない時代だからね。お米のレベルがボトムアップされているのでしょう。

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