
自分で画像を作っときながら少々空恐ろしくなったが、都市伝説ではないことだけは申しておこう。異論は構わないが反論にはふーん。
現在IT業界では商流制限もあり画像のような深い商流はないと思うが昔はザラだった。商流・流通の浅深は業界業種で異なると思うが、大なり小なりこんな感じではなかろうか。商品だったら、生産者(メーカー)、元卸、二次卸…小売店・小売業者、消費者と、卸値(仕入れ値)、売値が上がっていくと思ってもらえればいい。
余談だが、とある商いをしている人が、東日本大地震の時、取引をしている卸業が震災の影響から仕入れができずストックもなくなり、「今回だけはうちの仕入先と直接取引をしてくれ、話はついている」と言われ、そこから商品を仕入れたらこんなにも安いのかと驚いたことを話してくれたことがあった。
発注側と受注側とは持ちつ持たれつの関係と言えども、大方上位がマウントを取るので幾許かの不条理を感じるが、調子付いていると下位からマウント返しされることもある。双方持ちつ持たれつの “信頼関係” を築くことが肝要だろう。
さて、わたしが30代前半の頃、某企業のソフトウェア開発プロジェクトの案件で三次請け会社と業務委託契約を結び、1システムのチームリーダーとして参画した時の話。
開発場所は都内顧客本社システム開発部と2箇所のテナントビルのワンフロアに設けられ、わたしは本社近くのテナントビルで仕事をしていた。
仕事を始めて3ヶ月目、三次請け社長から、
「支払いを3〜4日待って欲しい」
と、連絡があった。社員を数えたら片手にさえ余る小ちゃな会社だったので、その時は資金繰りが苦しいのかな程度であまり気にはしなかった。しかし、その後も毎月遅延し、ひどい時は1週間遅延することもあったのだ。
そうなると、この会社飛ぶんじゃないかと不安になるわけで、わたしは契約解除を考え、この会社はスルーしてプロジェクト参画前に面談をした、好印象だった二次請け社長に「お話したいことがある」と電話をすると、翌日職場まで来てくれて近場の喫茶店で話をすることになった。
「話ってなんだ?」
「今月末で終了したいのですが」
∑( ̄ロ ̄;)!
「どういうことだ!? 何かあったのか?」
と、驚き丸出しで詰問してきたので事情を話すと、
「そーかぁ、あそこの社長にはお金を貸したことがあるんだよ、それも2度だよ」
と、弱った感じで声を落とした。金額は聞かなかったが、
「返してもらえたんですか?」
と、質問すると、
「うん、返しに来たけど、お金の管理ができないだらしない社長だよ」
と、呆れ顔で答えた。そして、少し間を置いて、
「ところで、今いくらもらっているんだ」
と、聞いてきたのだ。
おやおや? ひょっとして引き抜きか? 三次請けより二次請けの方が当然仕入単価はいいわけだから今の契約金以上は期待できる。わたしにとっては思わぬ展開、雨降って地固まるだ。
只この時の社長の顔を今でも覚えている。「いくらもらっているんだ」と、聞いてきた時、社長はわたしと目を合わさず、わたしの胸元に目をやり、独り言ですよ〜を醸し出すようにして聞いてきたのだ。つまるところ、この社長はわたしの出方次第で話を進める腹づもりで、それとなくわたしに下駄を預けたのだ。
したがって、わたしも三次請け会社と信頼関係にあったら、
「そういう話しは結構です」
と、話を打ち切ったが、件の通りの会社だったので、良心の呵責に苛まれることは露ほどもなく、この社長に乗っかることにした。
契約金を告げると、社長は間髪入れずに、
「よし、分かった。すぐにうちに来い!」
と、威勢のいい声で返し、20%アップの金額を提示してきた。
え!? ちょっと待った。このシーンではわたしが契約金を告げたら、社長のセリフは「うちに来るか」ではないの? いきなり「うちに来い!」ですか。それも金額まで提示しちゃったよ。
監督、これでいいの?
はい、オッケーでーす。
Ψ(`◇´)Ψ
今振り返ると、も少し金額交渉をすればよかったと思うが、「うちに来い!」に圧倒されたのと、アップ額にニンマリしてしまい、二つ返事で承諾して三次請け会社とは当月末で契約解除をして、翌月からこの会社と契約をして仕事(同案件)を続けた。三次請け会社はどうなったかと言うと不安的中。2ヶ月後会社は飛び、社長は行方知れずになった。
1日の仕事が終わると、チーム間の垣根もなく技術者同士でよく飲みに行った。別チームにはわたしと同じフリーランスで3歳年上の技術者(以下A氏)がいて反りが合い、職場でも話をすることがあった。
ある日、A氏は前の会社が倒産し給料3ヶ月分が未払いのことを話した。A氏の前職は家電量販店の社員だった。しかし、給料は低い上にサービス残業にノルマに休出もあり、続けてはいけないと退職。それからは1年間、日中はアルバイトをして、夜間にコンピューターの専門学校に通い修了してソフトハウスへ社員として転職したが、数年後にその会社が倒産し給料が3ヶ月分未払いだった。
わたしが労基に訴えたらどうかと問うと、
「貯金もあったので生活には困らなかったし、社長にはいろいろお世話になったんだよなぁ……いい人だったんだよなぁ……。未払分も必ず払うって約束してくれたし……払ってもらわなくても構わないけどね」
と、お人よしなのかお大尽なのか悠長な返事をしたので、わたしは何も返すことはしなかった。
A氏は、
「単価低いんだよなぁ」
と、ぼやいたこともあった。商流を聞くとA氏は指を折りはじめ、
「4社? いや5社入ってる。うちで6社目かぁ。これじゃぁ低いわけだ。ハハっ」
と、呑気に返してきた。
そんなに入っていたらいったい全体いくらなのか気になり契約金を聞いて驚いた。わたしの半額だったのだ。A氏はチームメンバーだったが、やっていることはわたしと大差はない。いくらなんでも低すぎる。
A氏が気の毒になり、わたしが契約している会社に来ないかと誘うと、A氏は契約中の会社とはこの仕事(案件)が契約満了した時に解約し、その後わたしが契約している会社と新規契約を結んだ。
A氏とは次の案件も一緒だったが、就業中に、
「今日は車で来たので帰り送りますよ」
と、声をかけられたことがあった。
そして、終業後A氏に連れられ駐車場に行くと、そこにあったのは当時そこそこ人気があったボルボV70(初代)だったのだ😳
助手席に座ると、新車特有の臭いがした。
「これ、新車ですよね、買ったんですか?」
「へへっ、給料未払いの社長から『ほんとうに済まなかった』って電話があって、未払い分に上乗せした金額が振り込まれたんです。そのお金を頭金にして買っちゃった」
振り込まれた額が思いの外よかったのだろう。A氏は運転しながら嬉しそうに話していた。

















