
先日、母の見舞いに来た叔父ひとりと叔母4人に久々に会ったときのこと。
わたしが叔母のひとりに、
「円形脱毛症になってしまいましたよ」
と、患部を見せたら、
「あら、台湾ハゲね」
と、叔母は言った。
「台湾ハゲ?」
と、聞き直すと、叔母は、
「そうよ、昔はねそう言ったのよ」
と、答えた。
「なんで、円形脱毛症のことを台湾ハゲって言うんですか?」
と、質問すると、叔母は、
「台湾人にハゲが多いからなのよ」
と、答えた。
すると、もうひとりの叔母が、
「あら、台湾の形をしているから台湾ハゲって言うのよ」
と、先の叔母に宣戦布告する形で会話に参戦してきたのである。
こうなると中立を辛うじて保っていたのであろう叔母たちも黙ってはいない。どちらに宣戦布告するかはどうでもよく、私も、私もと、参戦してきてピーチクパーチクとあーでもないこーでもないとしゃべり場という名の戦場を作ってしまったのである。
「女三人寄れば姦しい」というが、女はいくつになっても忙しない生き物ですな。わたしも叔父もしばし傍観者となってしまった。そして叔母たちの合戦は決着がつかず、一時休戦となりこの場は終わった。
なお、「台湾ハゲ」とは脱毛症のことで、脱毛症が病気であると考えられていた時代、台湾あたりから飛来した伝染病(日清戦争後、脱毛症になった兵隊が台湾から帰ってきて「台湾ハゲ」という名が流行った)という意味で名付けられたもの。現在では脱毛症は病気ではなく生理現象の一種であると考えられるようになり、科学的根拠の謂れもない「台湾ハゲ」は使われなくなった。
「台湾ハゲ」は放送禁止用語にもなっている。台湾人への蔑視になるので使うべきではない。

















