MRI検査をする

 先月末に右側頭部に頭痛が走る。きりきりと刺すような痛さ。この痛みははじめてではなかったので、しばらくすれば痛みはなくなるだろうと思っていたが、今回は数時間経っても、翌日になっても、数日経っても止むことはなかった。痛みは波がひいたり押し寄せたりするような感じで、先日の札幌旅行中もときどき痛みが走ったり、今週も仕事中痛みが酷くなったりしていた。

 こんなに長引く頭痛ははじめてだったため、用心して地元の医院にMRI検査の予約を入れる。
 しかし、MRI検査の診察者が多く、キャンセルがあった場合、MRI検査ができるようなニュアンスはあったが、それでも8時半に来るように言われた。予約前夜は痛みのため、目を覚ますほどだったので予約を入れてよかったと思った。

 今朝、予定通り朝8時半に医院へ行く。
 医院の玄関を入ろうとしたとき、玄関横にあった診察時間の看板を見ると朝9時からになっている。30分も早いではないか。

 しかし、8時半に来るように言われたのでそのまま玄関を入った。受付には患者も看護師は誰ひとりいなく、静まりかえっていた。

 下駄箱で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えようとしたとき、静寂を打ち消すように後ろ(受付)から男性の声で私の名前が呼ばれた。この医院の看護師は全員が女性なので、すぐに先生だと分かる。

 朝の挨拶、いつもお世話になっているお礼を言い、健康保険証と診察券を提示すると、先生はささっと事務手続きを済ませ、何か急いでいる感じで、私を診察室へ入れた。

 症状は前出の通り話しをしたが、それも聞いているのか聞いていないのか、
「では、今は空いていますから、すぐにMRI検査をしましょう」
 と、すくっと立ち上がり、そそくさと、
「こちらですから」
 と、MRI検査室へ誘導される。早足で、
「上着と時計とか携帯電話とは金属物はこのロッカーに入れてください。」
 と、説明をしている間も落ち着かない様子。

 言われるまま、ロッカーに保管していると、
「こちらです」
 と、MRI検査室へ。早っ。

 検査室にクリスマスソングのBGMが静かに流れていた。診察台に横になり、頭部を固定され、MRI検査がはじまった。検査中はスキャニングの音なのだろう、ガシャガシャと音を立てていた。MRI検査は20分くらいかかっただろうか、スキャニング中の音も不快な音には感じず、いつの間にか、うとうととしてしまい、
「終わりましたよー」
 と、先生の声で目を覚ました。

 いつ、どこから現れてきたのか女性看護師も2名いた。検査結果を待つため待合室に行くと、9時前だったが3名の患者がいた。その後、9時頃になると、うじゃうじゃとわさわさと診察者が来だした。また、9時になると、MRI検査を受ける患者がいた。

 どうやら、MRI検査の予約者で一杯だったため、30分前倒しで私の検査をしてくれたようだ。そのため、先生の行動がミーアキャットのように早かったのだ。感謝の気持ちを覚える。

 先生、私のような小人(しょうじん)のために、わざわざ診療開始時間を前倒しにして下さり、ありがとうございました。

 待合室で10分ほど待たされただろうか、名前を呼ばれ診察室へ。少々ドキドキしながら先生の診察結果を聞く。

「んー、どこも異常はありませんね。確か、お母様も偏頭痛があると言われていましたので…体質ですかねぇ。偏頭痛ですね」
 と、診断。ほっ。

 痛み止めの薬の処方箋を受取り、医院を後にする。薬局で薬を受取り、無事帰還。午後からはいつも通り酒を飲み、いつもの生活に。無駄に長生きしそうな感じだ。

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