
体を動かすのに腰を使い、重い物を持つのに腰を使い、立っても座っても体を支えるのに腰を使う。まさしく、「腰」は“肉(体)の要”だ。
わたしは、腰痛持ちの持病ではないが、30代半ばを過ぎた頃から、朝起きると腰の痛みを訴えるようになり、原因はベッドのせいだと分かっていた。しかし、朝に起きてしまえば腰の痛みはなくなったので、長年ほったらかしにしていたら、今年になって寝起き時の腰の痛みが急に増し、しばらくは痛みが残るようになっていた。
そして、日頃の運動不足も祟ってか、2月下旬に高々3kmほど歩いただけなのに腰をかなり痛め、睡眠中寝返りを打っただけでも腰の痛みで眼を覚ますようになり、3月上旬になると益々腰痛が酷くなり、起き上がるのも一苦労になって、日中も腰の動かし方では痛みを感じるようになっていた。
加えて、湿布をしても、かためのソファーで寝ても、ベッドの上にかための座布団を敷いて寝ても、一向に腰痛は改善されず、1週間、2週間と日が過ぎ、そんなわたしを見兼ねた妻は、
「ベッド買い替えるか」
と、言ってきた。
かためだったベッドは、10年使っていて相当柔になっていた。
ならばと、わたしは外泊先のどのホテルのかためのベッドでは、腰を痛めることはなく快眠できたので、
「ホテルで使っているようなベッドを買おう」
と、言うと、
「そんな高いベッド買えるか」
と、一蹴され、ニトリではかためのベッドに片っ端から寝転んでは、寝心地をチェックして、既存ベッドはポケットコイルだったが、寝心地がいちばん良かった、かためのボンネルコイルを選び、今月中旬に搬入されることになった。
腰痛は癌だった話
わたしのことではない。腰痛が一向に治らない3週間が過ぎた頃、ふと癌で亡くなった知人のことを思い出したのだ。
17年前になるが、知人は半年前から腰に痛みを感じるようになり、整形外科に通院し、都度痛み止めの薬も処方してもらい、医師から教わった腰の体操も毎日やっているが、全く改善されないことを話していた。
そして、その話を聞いた2ヶ月後、知人に用事があり電話をすると、知人は最悪の病気になったと言うのだ。最悪の病気と言えば癌だろう。
「癌ですか?」
と、聞くと、そうだと答えた。
ある日、首にパチンコ玉の硬いしこりが出来、気になって病院で診てもらったら、悪性リンパ腫と診断され、ステージ4と告げられたことを話した。わたしは返す言葉を失ったのを覚えている。
知人は即入院。抗がん剤は使わず治験薬で治すと言っていた。恐らく手術はもうできなかったのだろう。
3ヶ月後、わたしともうひとりの2人で病院へお見舞いに行くと、知人はベッドの上で寝ていて、パチンコ玉と言っていた首のしこりは、赤ん坊のこぶし大に膨れ上がっていた。
知人がわたしたちの気配に気がつき目を覚まし起き上がると、癌患者とは思えない、以前と変わらぬ見た目だった。そして、外出もOKで3人で近くの喫茶店へ行った。ほんとうに癌なのかと疑うほど、知人は首のしこりを除けば健康そのものに見えた。
当時、知人には小学6年生の子供がいた。
「僕はね、子供が中学を卒業するまでは絶対生きてみせる」
と、拳を強く握り締しめながら言い、仕事も来月復帰すると話し、
「腰の痛みは癌だったんだよ」
と、教えてくれた。つまり、腰痛は悪性リンパ腫によるもので、それが首に転移していたのだ。
わたしが知人に会ったのはこれが最後だったが、仕事には復帰したものの1ヶ月で再入院。子供が中学を卒業するまで生きるという願いも叶わず、数ヶ月後に亡くなった。
整形外科と消化器内科を受診
知人のことを思い出したわたしは、一抹の不安を感じた。というのも今回の腰痛は、右下腹部あたりだったのだ。右下腹部あたりは肝臓だ。休肝日も無く毎日晩酌をするわたし(妻も)。
肝臓がやられたのか? でも下腹部を指で押してもまったく痛くない。それに2ヶ月に1度、糖尿病と高血圧の診察で、血液検査、尿検査を行っているが、肝臓、膵臓、腎臓の数値は全て基準範囲内だ。年に1回健康診断をしている別の内科医院でもこれらについては問題なしだ。
と、なると別の病か? 妻に付き添ってもらい、一昨日総合病院の整形外科と消化器内科を受診した。
まず、整形外科を受診。医師に症状を話すと、レントゲンを撮ることになった。撮影台で仰向けになり1枚、横向きになり1枚、横向きで海老のように包まって1枚、海老反りで1枚の計4枚を撮った。
医師はレントゲン写真を見ながら、
「変形性腰椎症ですね」
と、診断した。
わたしの場合、脊椎(背骨)と脊椎の間にある、クッションの役割をする椎間板が石灰化して、体を後ろに反らすこと(伸展)ができない体になっていた。確かに後ろには体がほとんど反らない。
医師は、恐らくレントゲン写真に写っていない上の脊椎も石灰化しているでしょうと言い、加えて糖尿病を患うと尚の事と話した。なお、腰あたりの背椎には椎間板がしっかりあった。
変形性腰椎症が完治することはない。医師からは以下のアドバイスを受けた。
- 重いものを持たないこと
- 減量すること
- 姿勢をよくすること(猫背NG)
- 無理に体を後ろに反らさないこと
妻は、「重いものを──」に反応し、わたしに「使えねぇ」と宣う。
Ψ(`◇´)Ψ
次に消化器内科を受診。消化器内科の医師と整形外科の医師は連携を取っていたので、症状を話すまでもなく、わたしが腰痛の原因にはいろいろあるので、血液検査を希望すると、医師は、
「エコー検査もしましょう」
と言い、2つの検査を行った。
血液検査の『検査詳細情報』では、CRP、WBC、RBCの数値が高いが、医師からは腰痛で炎症を起こしている影響と言われた。他の数値は皆基準範囲内だった。

エコー検査の『検査報告書』では、この歳になるといろいろと要注意はあるものの、今すぐにどうこうしなければならない大きな障碍はないと診断され、薬も処方されることはなかった。

整形外科の医師から処方された薬は以下の通り。
- セレコキシブ錠(炎症や痛みを和らげる薬)
- レバミピド錠(胃粘液や血流を増やして胃粘膜を保護・修復する薬)
- ランソプラゾール(胃酸分泌抑制、ピロリ菌除菌)
薬のお陰もあると思うが、睡眠時は既存のベッドの掛け布団(羽毛)の上から寝るようにしたら、寝ていても腰痛はほとんど無くなった。
そして、診察前の数日間の晩酌は酒量を減らして、ちびりちびりやっていたのに、腰痛の原因が分かった途端、いつものようにぐびりぐびりに戻った。ま、昔に比べ、飲めなくなったけどね。新しいベッドが待ち遠しい毎日だ。


















