【ドラマ】男たちの旅路 第2部

 警備会社に勤務する吉岡は、筋金入りのガードマン。特攻隊の生き残りの戦中派で現在50歳。いまどきの若者の無責任な言動に我慢がならず、「若い奴は嫌いだ」と言い放つ。脚本家・山田太一が鶴田浩二演じる戦中派のガードマンを主人公に、戦後生まれの若い世代との葛藤を描き大きな話題を呼んだドラマシリーズ。第2部の三つのエピソード。

レギュラー出演

鶴田浩二(吉岡晋太郎[指令補])、水谷豊(杉本陽平)、桃井かおり(島津悦子)、柴俊夫(鮫島壮十郎)、五十嵐淳子(浜宮聖子)、金井大(田中先任長)、橋爪功(大沢司令補)、池部良(小田社長)

スタッフ

脚本:山田太一
製作:近藤晋
演出:中村克史
音楽:ミッキー吉野
演奏:ミッキー吉野グループ(ゴダイゴ)

目次

第1話 廃車置場

1977年2月5日放送

あらすじ

 大企業を辞めた鮫島壮十郎が吉岡らの警備会社に就職する。壮十郎は採用される際、配属される場所に関して、自ら選択あるいは拒否する権利が欲しいと申し出る。納得できる仕事しかしたくないという彼の態度は、吉岡には受け入れられるが、同僚たちの間には波紋を呼ぶ。そんなある日、陽平と壮十郎の警備先で事件が発生する。

みどころ

 陽平、壮十郎の警備先付近で暴行事件が発生する。事後、吉岡が壮十郎に、
「乱暴された娘さんは、殴られて一週間の傷だと言ったな」
 と、聞くと、壮十郎は、
「はい」
 と、答える。
 吉岡がまた壮十郎に、
「君は声を聞いた」
 と、聞くと、壮十郎はまた、
「はい」
 と、答える。

 吉岡が、
「声を聞いて何故そのままにした」
 と、問うと、陽平が口を挟み、
「そのままにはしませんよ。走って探しましたよ。だけど金網の外なら仕様がないでしょうが。中はあれからも調べたんだ。文句言われる筋合いはありませんね」
 と、反論する。

 吉岡は壮十郎に向かって、
「君もそう思うか」
 と、再度問うと、壮十郎は、
「事件が起きたことは残念ですけど、警備範囲外のことですから、やむを得なかったと思うしかないでしょう」
 と、答える。

男たちの旅路 - 廃車置場 吉岡は激昂し、
「馬鹿者!」
 と、言って、壮十郎の頬を殴る。吉岡は続けて、
「それが仕事を選んだ人間の言い草か。何故金網の外に出なかった。なぜ声を聞いたら道へ出てその声を突き止めなかった。まともな人間ってのはそう言うものだ。悲鳴を聞いたらどこで聞こえようがそこへ走るのが人間ってもんだ。仕事の範囲でなければ出て行かないのか。貴様もそんな馬鹿野郎だったのか」
 と言う。

 陽平は、
「ちょっと待ってよ、ちょっと。声を聞いていてどこへでも行っていたら仕事はどうなんのよ」
 と、反論するが、吉岡は、
「声を聞いたら飛び出して突き止めるのが人間ってもんだ。仕事の範囲から一歩も出ないなんてのは人間じゃない」
 と言い、それでも何か言いたそうな陽平に、
「おまえも殴られたいか」
 と、口答えを止めさせる。

 そして、吉岡は壮十郎に向かって、
「仕事を選んで生き生きと仕事がしたと言うのがおまえの希望じゃなかったのか。そんなことで、仕事が生き生き出来てたまるか。仕事をはみ出さない人間は俺は嫌いだ」
 と、一喝する。 男たちの旅路 - 廃車置場吉岡が陽平に、
「靴屋にカバンを直してくれと来たら、おまえなら断るか」
 と問うと、陽平は、
「カバン屋へ行けって言います」
 と答える。吉岡は、
「カバン屋がそばにないから来たんだ。直してやるのが人間ってもんだ。困った人間を前にして、おれは靴屋だからカバンは直さん! と言っているのが貴様たちだ。なぜ警備の範囲なんてことを考えた。なぜ飛び出して行かなかった。仕事からはみ出さない人間に生き生きとした仕事なんて出来ん。はみ出せ、範囲なんてはみ出せ。裏の道も物騒ならその道も警備してやれ。それが人間の仕事ってもんだ。はみ出さん奴は、俺は大っ嫌いだ」
 と、憤慨しながらも二人を諭す。

第2話 冬の樹

1977年2月12日放送

主な出演

竹井みどり(美子)、滝田裕介(美子の父)、川口敦子(美子の母)、大江徹(袴田)、ゴダイゴ(ロックグループ)

あらすじ

 人気ロックグループ(ゴダイゴ)にファンが殺到し、一人の女子高生が頭を打ち、気絶してしまう。軽い脳しんとうと診断された彼女を自宅まで送り届けた吉岡だが、父親は警備の不手際を避難するばかりで、娘の行動に一切触れない。責任を押し付けるばかりの父親の態度に憤り、吉岡は逆に彼を叱りつけてしまうのだった。

第3話 釧路まで

1977年2月19日放送

主な出演

田崎潤(上田船長)、長塚京三(三浦)、益富信孝(船客)、津嘉山正種(船客)

あらすじ

 芸術展に出品中のカンボジアの石像が、次の会場に移送されることになっていたが、「展覧会を中止して石像をカンボジアに返さなければ爆破する」という手紙が送りつけられる。そこで、輸送方法が変更され、飛行機ではなくフェリーで東京から釧路まで運ばれることになり、吉岡と陽平、壮十郎の3名は航海中の警備を命じられる。

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