音楽は過去に向かって進行する

 タイトルは、ポール・サイモンがさだまさしに言った言葉だ。
 ポール・サイモンの、
「たかが音楽 いつでもやめられる」
 と、言う言葉がプレイボーイのインタビューの小見出しに載っていたのを見たさだまさしは、音楽をやっている自分としてはちょっと許せないと、わざわざニューヨークまで行き、ポール・サイモンと面会すると、ポール・サイモンから、
「日本でどういう風に翻訳されたか分からないが、私が言いたいことは “音楽は過去に向かって進行する”。曲と言うものは、作った瞬間がもっとも尊い。生まれた瞬間が最後で、あとは全部過去の話。生まれた音楽が過去になるとき、その音楽が本当の意力を発揮する。」
 と、言われた。さだまさしは、この時、何となく腑に落ちたそうだ。

 そして、後年さだまさしは、
「自分の曲を誰かが語るのを聞いたとき、なにしろ45年歌ってますから、45年前に10歳だった人は55歳になるんですね。そういう人たちが自分の人生を振り返るかのようにボクの歌を大切にね、『あの頃の歌はね』と、語ってくれるのを聞いたとき、ふと思い出したのが、“音楽は過去に向かって進行する” だった」
 と、確信している。

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